ボランティア実習
記:Oさん
私がお世話になった実習先は「山仲間アルプ」というNPO法人であった。山仲間アルプでは月に2〜3回、障害者も健常者も一緒に登山やハイキング、講習会などの活動を行っている。私は5回の山行と講習会に1回参加した。会員の障害者の中には視覚障害の方がいて、歩く時にその人達のサポートをする。サポートというのは視覚障害者が健常者の肩やリュックに触れ、健常者は危険なところがある時にそれを知らせながら、一緒に歩く、というようなものである。視覚障害の程度によって、どのぐらいサポートが必要かは違うが、視覚障害の方に頼まれたり、不便そうな時にサポートをする。登山のコースの中ではサポートする人は何人かで交代をしながら歩いていた。サポートをする時はやはり、サポートをする側も緊張し、サポートをされる側も有り難いけれども申し訳ないとか劣等感などを感じるようだが、それらをお互いが楽しむことで乗り越えてしまおう、というのがアルプの理念であるように感じた。
活動に参加して一番印象的だったことは、障害者の方たちがとても明るく、前向きであったことである。会話の中で出てきた、「自分が障害者であることをほとんど意識していない」「明るく前向きであるのが普通である」という言葉が特に印象に残っている。これらの言葉どおり、障害があるからできないなどと自分で壁をつくったり、劣等感をもったり、いじけたりしているところが全くなく、むしろ、次々と新しいことに挑戦し、そのための努力をしていた。もちろん、そのようになるまでには、いろいろな経験や時間があったのだろうか、とも考えられるが。障害者の方たちと触れ合うことによって、私もいろいろなことに挑戦してみようという意欲がわいてきた。挑戦して努力すれば、多くのことは乗り切れるのだろうという気持ちになった。
また、健常者の会員の方たちの雰囲気もよかった。「ボランティアをしている」という意識はあまりないように見えた。それよりも、山登りの仲間と一緒に登山やそこでの会話を楽しみ、皆で一緒に楽しむために、仲間の中のサポートを要する人を「お手伝いしている」というような雰囲気であった。サポートは強制ではなく、できる人が引き受けるという形であるので、中には自分で歩くので精一杯だからサポートはしないという人もいるし、登山のコースの中でもなだらかな道や傾斜のきつい道、細い道、歩きやすい道など経験によって引き受ける部分が違っていた。つまり、無理をせず、それぞれが自分にできる力を発揮すればよい、ということであった。
私は今までボランティアというものをしたことがなかった。だから、最初は緊張していて頑張らなければいけないと気張っていたと思う。しかし、活動に参加していくと、頑張ろうと気張るよりも登山やまわりの方たちとの会話を素直に楽しむことの方が重要であると思うようになった。ボランティアというものは、人に何かをしてあげるものなのだろうと考えていたから気張っていたのだと思うが、自分ができることを自然に手伝うことで、自己満足でもなく、何かしら人の役にたっていることが分かり、気が楽になった。
それから、障害者も健常者も違いというものは、あまりないのではないかと思うようになった。障害者、健常者を問わず、人には必ずいくつか不得意なことがある。不得意なことは自分ひとりではこなせないから、自分以外の人やものに手伝ってもらうものだ。障害者がもっているハンディキャップも不得意なものの一つだと考えられるのではないかと私は思う。だから、人に手伝ってもらうのは自然であるし、それ以外に得意なこともたくさんあり、他の人たちを自然と手伝っている。そのように考えると、障害者、健常者という言葉で分けることに少し違和感を覚える。表記するためには仕方がないが、このレポートを書いていても変な感じがする。また、障害者の方たちはサポートが必要な時は素直に周りの人に頼むので、本人も周りも恐い思いをせず安心していられる。私も自分一人ではできないことをする時に、素直に周りの人に手助けを求められるようになりたいと思う。人に手伝ってもらえば、一人ではできないことも諦めずに挑戦することができるだろう。
山仲間アルプの活動に参加して、上記のような様々なことを感じられるようになったが、それはアルプの活動が自然の中で行われるから、という影響もあると思う。自然は、どんな人に対しても平等にその恵みを与えてくれる。その中にいると、気持ちが良くなり、同じものを仲間と一緒に感動することができる。川のせせらぎが聞こえたり、心地よい風が吹いたり、素晴らしい景色を見たりすると、その一つの現象だけで、それを感じた人皆を感動させてくれる。また、大勢で行く登山は一人だけゆっくり、または速く歩くことはなく、皆同じペースで歩くため、自然と協力し合い、喜びを分かち合うことができる。今回の実習では、いろいろなことを教えてくれる偉大な自然の力も改めて感じることができた。
実習を引き受けていただいた山仲間アルプの網干さんや、そこでお会いした方たちに、とてもお世話になり、多くのことを勉強させてもらった。これからも、山仲間アルプの活動を含め、日常などのいろいろな場面でボランティア、人の役にたつことをしていきたいと思う。このような機会を得ることができてよかったと思う。どうもありがとうございました。
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