至仏山山行報告
実施日 山名 参加者 会員 障害者 2名 健常者 3名
平成31年4月28日~29日 至仏山 合計 5名 会員外 障害者 0名 健常者 0名
コースタイム:
4/28 鳩待峠(13:15)…山の鼻(14:20)尾瀬ヶ原散策
4/29 山の鼻(5:40)…至仏山(9:00-9:30)…鳩待峠(11:10)
天気:
4/28 晴れ
4/39 晴れ一時曇り

★4月28日
 前日朝まで天気予報は、日曜日が晴れで月曜日が曇りだったため、日曜日に鳩待峠から至仏山に登って山の鼻に下りる予定に変更したが、この計画だと山ノ鼻に着くのが17時頃になる。山の鼻小屋に連絡するが、時間が遅すぎるため危険なので、もっと早い時間に着くよう指示があり、認めてもらえなかった。しかし、天気予報が変わり、月曜日の方が日曜日以上に好天になる予報になった。これはラッキーなので、当初の予定通り、日曜日は鳩待峠から山の鼻に下って山の鼻小屋に泊まり、月曜日に至仏山に登って鳩待峠に下山する、変更前の計画で行くことにする。

 しかし、電車の時間を変更するのは無理なので、上野駅から新幹線で高崎に向かう。ところが、越後湯沢と浦佐の間で停電があり、電車が一時停まり、30分以上遅れることになる。そのため、沼田着も遅れる。ただ、タイミングの良いバスがあり、鳩待峠に約1時間ほどの遅れで到着する。

 昨日は、雪が降ったはずだが、林道には雪がない。昨日は5㎝程度の積雪で、朝は凍結して車がいかれなかったそうだ。戸倉から鳩待峠までのバスの運転手さんは、ミズバショウが咲いているところで、少し停まって教えてくれる。

 鳩待峠はやはり雪が多い。昨年は非常に少なかったようだが、今年は冬の間少なかったけど、4月になって多くの雪が降り、平年並みになったらしい。

 スパッツを着けて山の鼻に下っていく。滑りたくない人はアイゼンを付けて下る。

 青空が広がり、暖かな日差しがうれしい。フィフィフィフィというゴジュウカラの歌声が響く。ヒガラやアカゲラの声もする。夏道はほとんど分からず、雪道のトレースを頼りに歩く。あまり潜らないほどよい堅さなので、トレースもたくさん付いている。スキーで歩いた跡もたくさんある。

 山の鼻小屋に着き、受付を済ませて部屋に荷物を置く。時間が早いので、尾瀬ヶ原を少し散策することにする。

 小屋を出て少し歩くと、雪が溶けて姿を現した湿原にミズバショウが咲いていた。まだとても小さい花を付けている。気の早いミズバショウがいてくれてうれしかった。

 雪原を歩き、無雪期では歩けないところも歩ける。雪解けの豊富な水が湿原の上を緩やかに流れていく。人も少ない。そんな尾瀬ヶ原を堪能しながら歩いて行くと、木道の上に張り出して積もっている雪に出会う。周囲は緩やかな川が流れ、水が多いため、早々に雪が溶けたのだろう。

 この木道に積もった雪の上を歩き、木道に下りるのだが、ここが大きな段差で滑りやすく非常に悪い。私はピッケルを使って下りたが、Iさんが私が近くにいたこともあり、木道に立った途端に滑って湿原に落ちてしまった。柔らかな湿原なのでけがはなかったが、袖口や靴の中が少し濡れてしまった。ゴアテックスのヤッケは水を通さず、身体は濡れることがなかった。この下りは悪いため、みんなはここで引き返すことにする。私は、もう少し歩いて、今日でないと撮れない至仏山や尾瀬ヶ原の写真を撮って帰る。帰りにみんなと合流すると、至仏山の横に虹が見える。太陽にかかった暈だ。天気は悪天の前兆だが?

 小屋に戻り、風呂に入りたい人は入り、飲みたい人は飲むことにする。夕飯の頃にはすっかり眠くなり、早々に休ませてもらった。

★4月29日
 深夜、トイレに立ったついでに外に出てみると、満天の星空が広がっていた。北斗七星が正面に大きく見えていた。

 朝食は6時とのことなので、弁当にしてもらっていた。大きなおにぎりを1個だけ食べて、準備をして出発する。小屋の周囲には、イワツバメが乱舞している。

 早朝なので雪は締まっているが、私はアイゼンを使わずに登ることとする。尾瀬ヶ原から樹林帯を登っていく。ゆっくりゆっくり高度を稼いでいく。ここは、斜度は緩いが、山頂まで終始登りが続く。そして風景の変化もあまりない。ただひたすらがんばって登るだけだ。

 森林限界を超えると、白い雪原に葉を落とした黒い木々と黒く見える川が幾筋もたおやかに流れる。そんなモノトーンの世界の上に燧ヶ岳が佇み、その左手には会津駒ヶ岳が見える。真っ青な空が広がり、太陽の日差しが暖かい。

 登るにつれて平ガ岳が見えてくる。会津駒ヶ岳の左奥には会津朝日岳方面も見えてくる。その奥にも真っ白な山が見えるが、飯豊の山々だろう。平ガ岳の左奥には、越後三山の中ノ岳と越後駒ヶ岳が見えてくる。雪深い山だけあって、まだ真っ白だ。

 少しずつペースが落ちてくる。上を見上げると、まだまだ同じような傾斜の斜面が続く。ひたすらがんばるしかない。

 ハイマツが出てくる。トレースはハイマツ帯の左に続いている。みんながんばって登ってくる。白いピーク状の所に上がると、目の前に山頂がある。山頂に立つと、今まで見えなかった谷川岳方面の山々が一気に見えるようになる。

 山頂は雲に覆われて見えなかったが、一の倉沢等の岩壁で谷川岳はすぐ分かる。その奥には仙ノ倉山、その右手の山頂が平らな苗場山、その右奥には妙高山、ぐっと近くには巻機山が佇み、そこから越後三山につながる越後沢岳等の山や尾根があり、兎岳の向こうに中ノ岳と越後駒ヶ岳が聳える。八海山はその左に山頂が少しだけ見えていた。

 そして平ガ岳が続き、手前の景鶴山、その奥に会津朝日岳とさらに奥に飯豊の山々、会津駒ヶ岳、燧ヶ岳と連なる大展望が広がる。ただ、山頂で休憩していると、20分ほどで雲が近くに広がってきて、展望を隠してしまいそうになる。

 早々に集合写真を撮り、下山にかかる。これから向かう小至仏山方面が一望だ。順調に下っていく。スキーで登ってくる人やスノボーを背負った人たちも大勢登ってくる。日帰りで至仏山を楽しむ人が多いのだろう。

 小至仏山のトラバースは、滑落したら危険だと思っていたが、幅が30㎝ほどのトレースが付いていて、ピッケルを持つかアイゼンを付けるかすれば問題なく歩ける。

 小至仏山を過ぎると、正面に上州武尊山がよく見えるようになり、右手には笠ヶ岳がすぐ近くに見える。そろそろ展望もここまで。樹林帯に入っていく。トレースはあちこちに付けられている。山頂から50分ほど歩いたところで休憩し、振り返ると山頂は遙か遠くにある。下りは早い。鳩待峠まであと30分程度。1時間半ほどで峠に下ってしまう。

 展望はもう終わりと思ったが、1カ所だけ樹林が切れて至仏山や燧ヶ岳が見えるところがあった。尾瀬ヶ原はすでに遠くなっていた。

 鳩待峠に着き、乗り合いバスの切符を買う。私はラーメンを食べたくて、食堂に入り、わずかの時間で食べてくる。乗り合いバス(タクシー)は、人数がそろったらすぐに出発してくれた。暖かいジャンボタクシーの中、いつの間にかうとうとと眠りについていた。

                                                               記:網干