大人と子どものふれあい登山(第2回北岳)山行報告
実施日 山名 参加者 会員 障害者 2名 健常者 6名
平成30年8月11日~12日 北岳 合計 8名 会員外 障害者 0名 健常者 0名
コースタイム:
8/11 広河原(11:25)…分岐(12:00-12:20)…二俣(14:40)…白根御池小屋(15:10)
8/12 白根御池小屋(4:05)…二俣(4:45-4:55)…八本歯のコル(7:15-7:35)…北岳(9:10-9:30)…
   肩の小屋(10:00-10:30)…二俣(12:35-12:50)…広河原(15:10)
天気:
8/11 晴れ後曇り一時雨
8/12 曇り後一時雨

★8月11日
 「大人と子どものふれあい登山」の最後は、日本の山で標高が2番目に高い北岳だ。登山経験の多いM君も、南アルプスの山は初めてとのこと。好天に恵まれることを期待する。

 今日も明日も天気予報は午後からあまり良くない予報だ。それでも、今日はまだ好天だ。甲府駅から直通バスに乗って広河原に向かう。乗客は、4台ほどのバスに分乗する。多くの登山者がいる。

 甲府は暑かったが、広河原に着くと、さすがに涼しい。天気はよいが、雲が多く、大樺沢の出合から北岳山頂は雲の中で見えなかった。鳳凰三山方面は見えている。広河原山荘でペットボトルに水を満たし、登山道を登っていく。

 キツリフネやセリ科の植物など、多くの花が迎えてくれる。少し歩いて、二俣方面と白根御池方面への分岐で昼食タイムとする。今回は、樹林に覆われて展望の利かない白根御池に直接上るコースは使わず、二俣経由で白根御池に行くコースとする。

 最初の大きな沢には、丸太2本の橋が架かっている。視覚障害者の二人が心配だったが、問題なくクリアする。ここから少し行くと、登山道は右岸に移る。こちらにも花が多い。キオンだと思った黄色い花は、ハンゴンソウだった。コウシンヤマハッカやレイジンソウが咲き、センジュガンピの花も見られるようになった。

 再び左岸側に移って登っていく。いろんな所を人が歩くため、登山道は少し不明瞭だ。途中、ハンゴンソウの大群落があり、一面が黄色に染まってきれいだ。ミヤマシシウドもたくさん見られるようになり、ヤナギランを久しぶりに見ることもできた。8月なので見られると思っていなかったミヤマハナシノブもまだ花を付けていた。

 二俣のすぐ下には、雪渓が残っていたので、子どもたちと行ってみる。雪渓の近くはひんやりしていて涼しい。二俣で少し休憩した後、山腹をトラバースして白峰御池小屋に向かう。セリバシオガマやトモエシオガマが咲いていた。小屋の手前でポツポツと雨が降り始めた。しかし、カッパを着けることなく小屋に到着する。

 白峰御池小屋は久しぶりだが、とてもきれいな小屋になっている。一時ざーっと降った雨も止み、高峰と観音岳方面が見えてきた。夜、22時過ぎに外に出てみると、満天の星空で、火星が赤く輝いていた。

★8月12日
 3時過ぎに起きて、外に出ると、まだすばらしい星空が広がっていた。ペルセウス座流星群も一つだけ見ることができた。小屋の中の気温は20℃、外は15℃だった。予定より早く出発する。二俣へのトラバース道は、暗いため、みんなが離れないように待ちながら進む。

 二俣に出るともうヘッドランプはいらない。鳳凰三山側はよく見えている。しかし、北岳の山頂付近には、まだ薄いが怪しい雲が広がってきた。山頂で展望があることを願うばかりだ。

 二俣からは左俣コースを登る。タカネナデシコやヒメシャジン、ヤマホタルブクロ、ミソガワソウなどが咲いている。朝日がバットレスを染めるようになってきた。しかし、山頂はすでに雲に包まれ、八本歯のコルも怪しい雲が迫ってきていた。バットレス方面から人の声がしたので、見てみると2人パーティーが登っていた。たぶん、5尾根の支稜を登っていたのだと思われる。

 登山道は次第に急坂になり、とうとう雲に包まれてしまった。登山道は尾根道となり、梯子の連続となる。八本歯のコルまで10数本の梯子がかかっていた。子どもたちは元気に登っているが、大人はフーフーだった。

 天気がよければバットレスがよく見えるところだが、今回は何も見えない。深い霧に包まれた八本歯のコルに着く直前、とても華やかな花が迎えてくれる。南アルプスにしか咲かないタカネビランジだ。可憐な花が多い高山植物の中で、この花だけは「華やか」という言葉がぴったりくる。展望がなくても、この花に出会えただけで満足できる。近くにはミネウスユキソウやタカネヒゴタイ、トウヤクリンドウも咲いている。

 八本歯のコルから先も梯子が見える。がんばって登っていく。タカネビランジは、ところどころ咲いている。ゴーロ帯を登ると、北岳山荘への分岐に着く。この付近はとても寒い。休憩もそこそこに山頂へ向かう。イワベンケイやミヤマコゴメグサが見られるようになる。吊り尾根分岐の手前では、小さなリンドウが咲いていた。約20年ぶりに再会できたサンプクリンドウだ。これも予想外だったので、とても感激する。

 吊り尾根分岐からはさらに霧が深くなり、雨もポツポツ降り始めた。雨具やザックカバーを付けて登っていく。山頂直下には、赤い雄しべがきれいなシコタンハコベやタカネシオガマの花が見られるようになる。

 ようやく山頂に到着する。何も見えない山頂より肩の小屋でゆっくりしようという意見が聞かれたが、K君のもう少し山頂にいたいという意見が通り、15分ほど休憩する。山頂には、タカネビランジの大きな株があった。

 山頂から先は、ちょっとした岩場があるが、慎重に通過すれば特に危険ではない。肩の小屋で、早い昼食タイムとする。ここは展望のよい場所だが、今日は何も見えない。

 小太郎尾根の分岐も何も見えないので素通りする。その下には、シナノキンバイとミヤマキンポウゲのお花畑が広がっていると思ったが、時期が遅かったのか、ミヤマシシウドが中心で、一面を黄色に染めていたお花畑は見られなかった。時期が遅かったことが理由ならよいのだが・・・?

 雪に曲がったダケカンバ林を過ぎ、ぐんぐん下っていく。何度か雨も降るようになってきた。しかし、樹林が切れた草原では、少し霧が晴れ、鳳凰三山側が見えてきた。しかし、それもほんの一瞬で、歩きはじめると、再び霧に包まれ、雨も降るようになってきた。

 二俣で休憩し、登ってきた道を下っていく。何度か雨に降られるが、日が差すこともあった。若い女性の2人パーティーと抜きつ抜かれつし、先頭は広河原山荘に到着する。帰路はバスをやめて乗り合いタクシーで芦安に行き、温泉に入って帰りたいという意見が出ていたので、そのままタクシー乗り場まで行く。広河原山荘からはお兄さんのK君がFさんのサポートをしてくれる。

 4年ぶりの登山だったSさんが、帰路で足がつってしまい少し遅れたが、みんな無事に1,700mの標高差を下ってくることができた。芦安では、17時に閉まるという店で入浴する。ゆっくりできなかったが、汗を流せただけで満足できた。店から出ると、強い雨が降っていた。少し雨にも降られたけれど、タカネビランジやサンプクリンドウが見られ、満天の星空も見られて、楽しい2日間を過ごすことがで来た。
                                                               記:網干

《参加者の感想》
参加された皆様、北岳の二日間ありがとうございました。天候には恵まれず、山頂での展望は望めませんでしたが、山頂に咲いていたタカネビランジは自分でもよく見ることができました。しっかりと脳裏に焼き付けてきました。この時期にあそこでなければ見れないのでとてもラッキーでした。
鳥や花の名前をその場で教えて頂けるので、目の見えない自分でもとても楽しく充実した山行でした。山頂までの登りはハシゴが多く、アスレチックのようでとてもおもしろかったです。

S.Kさんには黄色いスパッツをわざわざつけていただき、申し訳ありませんでした。足どりが見易いのでとても助かりました。Kさん最後尾から安全を見守って頂きありがとうございました。Aリーダー、山頂からの下山では、雨でぬれて滑りやすく歩きづらい道でしたが、適格にサポートしていただき怪我することなく無事に降りてこれました。
本当にありがとうございました。
                                                              記:Y.F

久しぶりに長く歩けました。少し筋肉痛が出ましたが、もう大丈夫です。歩くのが遅い私に合わせて下さり、有難うございました。皆さんと歩けてよかったです。長いハシゴ、雨でぬれてしまった岩ごろの道など、体験できました。そして、また タカネビランジにあえました。他にも、沢山の花に会えました。山って本当にいいですよね!いつまでも山に会えるように‥
                                                              記:Y.F