大人と子どものふれあい登山(第3回立山三山)山行報告
実施日 山名 参加者 会員 障害者 3名 健常者

11名

平成29年7月29日~30日 立山三山 合計 14名 会員外 障害者 0名 健常者 0名
コースタイム:
7/29 室堂(9:55)…雷鳥沢(10:45-11:00)…剣御前小屋(13:20)
7/30 剣御前小屋(4:35)…別山(5:10-5:25)…真砂岳(6:20-6:25)…富士の折立(7:20-7:40)…
   大汝山(7:50-8:05)…雄山(8:25-8:45)…一ノ越(9:30-9:50)…室堂(10:45)
天気:
7/29 雨のち曇り
7/30 霧一時曇り

★7月29日

 「大人と子どものふれあい登山」最終回は、北アルプスの3,000メートル峰、立山三山の縦走だ。まず初日は、夜行バスで移動するため、無理をしないように別山乗越にある剣御前小屋まで登るだけの計画とした。

 

 夜行バスで富山駅まで来て、電鉄富山駅から立山まで電車で行く。そこからケーブルで美女平へ。美女平からはバスで室堂まで行く。展望の良いバス路線は、残念ながら霧に包まれて展望がほとんどない。称名の滝も見られなかった。それでも、うとうとしながら外を見ていると、天狗平周辺では、車窓からニッコウキスゲなどが見られた。

 

 室堂は、残念ながら雨が降っていた。おにぎりを2個ほど食べてから雨具を着る。外は霧に覆われているが、お花畑はきれいだ。チングルマやコイワカガミ等がたくさん咲いている。

 

 ミクリガ池はまだ残雪が豊富にある。続いて血の池を過ぎ、有毒ガスの心配もある地獄谷の近くを通り過ぎる。今日は、危険なほどのガスは発生していなかった。

 

 雷鳥荘から雷鳥沢のキャンプ場に下る。途中、登山道脇に雪渓があったので、そこを滑りながら下る。子どもたちも楽しそうにはしゃいでいた。

 

 雷鳥沢キャンプ場で休憩した後は、称名川を渡り、雷鳥沢の雪渓を登る。残雪は平年より少し多いようだ。雪渓を過ぎて小さな尾根の登山道を登る。霧が晴れると雷鳥沢のキャンプ場周辺が見える。残雪の模様が美しい。

 

 登山道脇には、コイワカガミやチングルマ、ハクサンイチゲ、アオノツガザクラなどが咲いている。一面チングルマのお花畑もすばらしい。

 

 登っていくと上の方からライチョウがいるという声が聞こえる。行ってみると、雌と雄のライチョウがいる。雌は木の芽などをついばみ、雄はじっとしている。その様子を見て、雄は抱卵しているのだと感じた。この時期は、雌のライチョウが子連れで歩く姿を見ることが一般的だ。今年は雪解けが遅れたために、産卵も遅れたのだろうか? 冬が来る前に生まれた子どもが冬を乗り切れるだけの成長ができるのだろうか?少し心配になる。どちらにしても、抱卵中に人が近づいたり、声を出すことは、親ライチョウを刺激して、抱卵を放棄する危険性があるため、できるだけ早く離れるように、見ている人たちに伝える。

 

 花の写真を撮りながら、雷鳥坂を登る。やや遅れ気味の人もいたが、今日は時間に余裕がある。ゆっくり登れば大丈夫。霧の中から、今日泊まる剣御前小屋が現れる。受付を済ませて、部屋に入る。そして食堂でのどを潤し、談話室で、他の登山者の人たちも交えて交流の時間。こんなところで「怪傑ハリマオ」を聞けるなんてと感動していた人もいたらしい。一緒に歌っていた若い人は、子どもたちとトランプもして遊んでくれた。子どもたちの相手をしてもらえて感謝です。

 

 18時半過ぎ、周囲の霧が晴れ、西の空に夕焼けが見られた。外に出てみると、剣岳も見えている。雲の上に山頂から八ツ峰まで見せている。今回、剣岳を見られたのは、これが最初で最後だったが、見られたことは幸運だった。

 

★7月30日

 昨晩は、19時過ぎにはもう眠りについていた。夜半に外に出てみると、霧で何も見えない。朝起きても、霧に包まれて何も見えない。ただ、天気予報は、昨日より少し良くなっていて、雨は降らない予報となっている。

 

 3時半に起床し、朝食のおにぎりを食べ、4時半過ぎに出発する。すでに明るくなり始めていて、ヘッドランプを使う必要はなかった。

 

 霧の中を黙々と登り、別山に登り着く。ここは、晴れていたら、最高の剣の展望台。しかし、今日は何も見えない。集合写真を撮って先に進む。

 

 一度下って、真砂岳への登りにかかる。時折、霧が薄くなるときがある。もしかしたら晴れる可能性があるのではないかと期待が膨らむ。

 

 真砂岳の山頂で休憩し、富士の折立に向かうが、道標がなく、深い霧で周囲の地形も分からない。そのため、雷鳥沢に下る登山道に入ってしまった。後ろにいたIさんが、分岐があったので、そちらではないと思うと声をかけてくれた。スマホで現在地を表示してくれたKさんの地図を見ると、ちょうど分岐のところにいたので、後戻りはせず、トラバース道で富士の折立方面に行くことにする。IさんとKさんに感謝です。

 

 富士の折立への登山道に戻ると、そこにはイワギキョウとチシマギキョウが咲いていた。そして、周囲が明るくなり、次第に霧が晴れていく。みんなから歓声が上がる。室堂方面が見え、大日岳も見えてくる。黒部側の内蔵ノ助カールも見えるようになる。室堂平には、ミクリガ池も見えている。青空が広がり、感激の一瞬となる。

 

 しかし、立山三山の山頂方面はまだ雲の中だ。富士の折立に登っていくと、再び霧に包まれるようになる。

 

 富士の折立で休憩する。数年前、六つ星山の会の方が、ゴールデンウィークにここのピークを往復しているときに滑落して亡くなってしまった。ご冥福をお祈りする。

 

 ピークは登らず、立山三山の最高地点、大汝山を目指す。少し登っていくと、避難小屋に着く。大汝山のピークは小屋のすぐ裏だ。山頂で集合写真を撮って休憩する。残念ながら、霧に包まれて景色は全く見えない。

 

 山頂を後にして、最後のピーク雄山に向かう。雄山のピークは雄山神社にあるので、お金を出さなければそこに行かれない。今回、我々のメンバーで雄山神社に行った人はいなかったようだ。

 

 霧が薄くなってきたので、もしかしたら霧が晴れて遠くの槍ヶ岳まで見えるのではないかと期待したが、明るくなったものの霧は晴れなかった。一等三角点を見て、下山にかかる。

 

 ここから一ノ越までは岩の道だ。子どもたちは元気に下るが、こちらはひやひや心配する。それでも、みんな無事に下っていく。一ノ越が近づく頃、登山道脇にライチョウの番がいた。今回2度目のライチョウだ。この2羽は、登山道まで出てきて、みんなを楽しませてくれる。ライチョウのために渋滞ができるほど、大混雑だった。

 

 子どもたちは一ノ越に1番に到着。待っている間、雪渓に下りて楽しませてあげることにする。Y君と雪合戦。

 

 みんながそろって、少し休憩したので、下山にかかる。一ノ越から室堂への下りには、4カ所ほど雪渓を横切るところがある。軽アイゼンを出すこともなく、みんな順当に下っていく。

 

 立山室堂山荘の横の広場に到着。入浴が可能か確認に行くが、今は入浴できる時間ではないとのこと。入りたがっていた子どもたちもあきらめてバス停に向かうことにする。周囲は、チングルマや、ミヤマキンポウゲ、コイワカガミのお花畑。ヨツバシオガマやタテヤマリンドウも咲いていた。花を楽しみながら歩いて、バスターミナルに着く。

 

 ここからは、トロリーバスで大観峰まで行き、そこからロープウェイで、黒部平へ。さらにケーブルカーで黒部ダムに行く立山黒部アルペンルートだ。黒4ダムでは、観光放水を写真に収めて、少し休憩時間を設け、トロリーバスで扇沢に向かう。バス乗り場には、石原裕次郎が書いた言葉を収めた記念プレートがある。ITさんは、感激していたようだ。

 

 扇沢からは、さらにバスで信濃大町に行く。青々とした水田が広がる里の風景を楽しみながら信濃大町まで行き、そこからはあずさに乗って、新宿へ向かう。

                                                               記:網干