木曽駒ヶ岳山行報告
実施日 山名 参加者 会員 障害者 1名 健常者 8名
平成28年8月6日~7日 木曽駒ヶ岳 合計 9名 会員外 障害者 0名 健常者 0名
コースタイム:
8/6 千畳敷(13:50)…宝剣山荘(15:00)泊
8/7 宝剣山荘(6:05)…木曽駒ヶ岳(6:50-7:20)…宝剣山荘(8:15-8:30)…宝剣岳(8:50-8:55)…
   宝剣山荘(9:15-9:25 伊那前岳方面往復)…乗越浄土(10:00)…千畳敷(11:00)
天気:
8/6 晴れのち霧
8/7 快晴

★8月6日

 この週末は好天に恵まれる予報となった。会員外の方二人が残念ながらキャンセルとなったが、硫黄岳に都合が付かず、こちらに参加した二人の子どもたちもいるので、賑やかな山行となる。

 

 高速バスは1時間遅れたが、その後のバスとロープウェイは待ち時間もなく順調に進む。千畳敷に着くと、そこは別天地。ひんやりとした空気が心地よい。自己紹介をして歩きはじめる。

 

 千畳敷カールを歩いていると次々に高山植物が現れる。ハクサンボウフウ、クロトウヒレン、シナノオトギリ、エゾシオガマ、サクライウズ(トリカブト)、タカネグンナイフウロ、ムカゴトラノオ、クルマユリ等々、カールは高山植物の天国だ。

 

 カールから八丁坂の登りにかかる。山仲間アルプ設立の年に来たときは、ここでヒメウスユキソウ(コマウスユキソウ)を見たが、今回は見つからない。もう絶滅してしまったのではないかと心配になる。

 

 南アルプス方面には入道雲が立ち上がり、どんどん成長している。浄土乗越が近づく頃、ゴロゴロとカミナリの音が聞こえ始めた。南アルプス北部では、雷雨になっているのかもしれない。

 

 浄土乗越に計画よりかなり早く到着する。しかし、中央アルプスにも雲が広がり始めていた。そのまま宝剣山荘に入ることにする。結局、雨は降らずにすんだが、20時頃、外に出てみると、霧で何も見えなかった。

 

 それでも、0時過ぎに外を見ると満天の星空。流れ星も見えた。子どもたちを起こし、夜空を仰ぐ。天の川やはくちょう座がよく見える。子どもたちも、一瞬の流れ星を見ることができたようだ。

 

★8月7日

 20代のKさんにせっかくここまで来たのだから宝剣岳に登ってもらおうと、日の出前に山頂に登る。山頂で30分ほど日の出を待つ。八ヶ岳のキレット付近から太陽が顔を出した。普段山で見る太陽よりも大きく感じられた。

 

 日の出前、明かりの見えた駒ヶ根の町は明かりが消え、その向こうに南アルプスの山々が連なる。富士山は、農鳥岳と塩見岳の間から頭を出している。聖岳のさらに右には、光岳など深南部の山々もくっきり見えている。中央アルプス南部の熊沢岳、空木岳、南駒ヶ岳もよく見えている。御岳も朝日が当たり始めた。

 

 宝剣山荘に戻ると、すぐに朝食が始まる。予定より少し早めで、とても助かる。席も最初から決まっているので、全員そろって席に着く必要もない。

 

 しっかり朝食を摂り、小屋の前に集合する。とにかくすばらしい天気だ。まずは木曽駒ヶ岳に向かう。木曽駒ヶ岳の前に中岳を登って降りる。K君は、「えー、なんで降りるの?」と不満そう。ここを越えないと木曽駒ヶ岳に着かないのだから仕方ないね。

 

 下を見ると、頂上山荘と色とりどりのテントが見える。そこまで下って、また木曽駒ヶ岳に向かって登り返す。標高差もそれほどないのだが、やはり標高2,900m以上あるので、酸素は薄い。何となく疲れを感じる。

 

 山頂に着くと、これまで見えなかった北部がよく見える。山に行くといつも探す富士山と槍ヶ岳。今まで見えなかった槍ヶ岳と穂高岳が遠くに見える。乗鞍岳も見えている。後立山はさすがにはっきりは見えなかった。ゆっくり30分ほど休み、集合写真を撮って下山にかかる。

 

 来た道と同じ道を通るのだが、FさんのサポートをKさんに代わってもらったからなのか、来るときに気づかなかった花がいろいろ見えてくる。トウヤクリンドウやコマクサ、それにほんの少しだがヒメウスユキソウが咲いている。別のグループ(ツアー?)のリーダーが、コマウスユキソウと言われているが、本来はヒメウスユキソウだったと説明している。どちらでも良いけど、花の回りの綿毛がきれいだ。

 

 宝剣山荘に戻り、子どもたちに宝剣岳に登ってもらうことにする。ソウンスリングを腹に巻き、ロープでつないで一緒に登っていく。岩場を登り、山頂直下のトラバースは、私が先に行き、二人を確保する。Kさんが後ろで子どもたちの様子を見て、ホールドなどのアドバイスをする。K君のお母さんも一緒に登って来る。無事に、宝剣岳山頂に5人が到着する。山頂の一段高い岩に登っている人もいるが、そこには登らずに引き返す。下りはより慎重に歩いてもらう。無事に宝剣山荘に到着。子どもたちは自信になっただろうか?

 

 乗越浄土にザックを置き、伊那前岳を往復することにする。こちら側から宝剣岳を見るのは初めてだ。当面の岩場が急角度で山頂から落ちている。伊那前岳は思ったよりも遠く、帰りが登りになってしまうので、時間的なこともあり、途中で引き返す。ここでも、帰りにヒメウスユキソウを見つける。

 

 乗越浄土から八丁坂を下る。登る人たちと下る人たちで大混雑だ。今日の木曽駒周辺は、とにかく大賑わい。ロープウェイに乗るために並ばなければならないのではないかと、少し心配になる。ただ、午前中はそれほどの混雑にならないだろうと予想している。

 

 カールに降り立ち、カール底にある池を経由して千畳敷駅に戻る。ロープウェイ乗り場は、並んでいなかったけど、数分後には数十人が並んでいた。それでも、順調に降りて、高速バスのバス停で長時間並ばなくても良いように、時間を調整して、次のバスに乗車した。

 

 伊那谷に住む人たちは、木曽駒ヶ岳を西駒ヶ岳と呼び、甲斐駒ヶ岳を東駒ヶ岳と呼ぶと聞いた。山の反対側の木曽と甲斐に名前を取られてしまって、伊那駒ヶ岳がないのが残念なのかもしれない。でも、伊那の人たちにとっては、どちらも自分たちの駒ヶ岳なのだろう。

 

                                                                 記:網干