子ども登山教室スタッフ養成総合講習(丹後山・中ノ岳)山行報告
NO.
日付
山名
参加者
会員 障害者
1名
健常者
6名
1
平成22年10月2日〜3日 丹後山・中ノ岳 合計 7名 会員外
(賛助員含む)
障害者
0名
健常者
0名
  コースタイム:
10/2 十字峡(9:35)…栃の木橋(10:25)…カモエダズンネ(二合目)(11:40-12:00)…
    ジャコの峰(四合目)(13:10-13:20)…ジャコの平(14:00-14:10)…丹後山(15:35)
10/3 丹後山避難小屋(4:55)…大水上山(5:45-5:50)…兎岳(6:30-6:10)…
    中ノ岳(10:15-10:55)…分岐(11:05-11:15)…小天井(七合目)(11:55)…
    日向山(五合目)(14:40-12:55)…十字峡(15:00)
天候:
10/2 晴れ、
10/3 霧後晴れ

★10月2日
 前日の天気予報では、明日は曇り一時雨だが、今日は好天の予報だ。六日町に着くと、周囲の山々も見えて予報どおり、好天が期待できそうだ。

 十字峡でタクシーを下車し、登山届けを提出して、林道を歩きはじめる。三国川は、エメラルドグリーンの美しい流れを見せてくれる。50分ほど歩き、栃の木橋を渡ったところに、登山口がある。休んでいると、スズメバチが1匹来て、うろついている。刺激しないように、ゆっくり動いていたが、なかなかどこかに行かないので、すぐに出発することにする。

 登山道は、いきなりの急登となる。標高差で400mほど登ったところで、ようやく傾斜が落ちる。そこがカモエダズンネだ。どういう意味なのか全く分からないが、中ノ岳も見え、休憩に良いところなので、昼食タイムとする。

 ここを過ぎても、登りはじめほどではないが、急な登りがどこまでも続く。ブナの林に心は和むが、登りはきつい。特に、今回は水場がないため、各自3リットル以上の水を背負っている。

 登るにつれて、展望は良くなってきた。時々、中ノ岳や下津川山方面が見えてくる。ようやくジャコの峰に到着。ここが四合目だ。厳しい登りであったが、ペース的にはまずまずだ。余裕を見ている計画よりは早く登っている。

 ジャコの平を過ぎ、八合目に14時55分に到着。丹後山の山頂が間近だ。丹後山は、非常になだらかな山だ。稜線に出ると、水場への標識があったが、避難小屋にいた方に聞いたら、水は涸れているとのことだった。ここから南への稜線は、非常にたおやかでやさしい尾根が続いているが、登山道はない。ただ、笹藪にわずかに人が歩いたと思われる笹がへこんだ跡があった。

 避難小屋は、ほとんど山頂といって良い場所に建っている。荷物を分岐に置いて、山頂に向かう。明日の天気が良くないようなので、今日のうちに山頂での集合写真を撮っておきたかった。

 山頂で写真を撮った後、避難小屋に戻る。避難小屋には、すでに大勢の先客がいた。私たちは、2階の一画を確保させていただいた。小屋に着いたら、天気図を取ろうと思っていたが、山頂に着いた頃からすっかり忘れていて、思い出したのは、翌日、兎岳を過ぎた頃だった。

★10月3日
 朝、起きると、外は深い霧に包まれている。朝食を済ませ、出発準備をするが、まだ真っ暗な霧の中のため、危険と判断し、もう少し小屋内で待つことにする。

 他のパーティーの体操に合わせて、我々も簡単なストレッチをする。そして、5時少し前に薄明るくなってきたので出発する。

 ヘッドランプを付けて歩いていたが、20分ほどで必要なくなる。しばらく歩くと、利根川水源の碑に到着した。ここは、利根川の水源の地だ。尾根の右側に落ちた水は、利根川から太平洋に注ぎ、左側に落ちた水は、三国川から魚野川となり、最後は信濃川となって日本海に注ぐ。分水嶺の尾根だ。

 さらに登っていくと、大水上山に到着する。この山も、どう読むのだろうか? 水上町の最北部にあるので、「おおみなかみやま」と読むことにする。

 ここから少し下って兎岳の登りにかかる。この頃から、空が明るくなり、一瞬、霧が晴れて中ノ岳と八海山が見えた。チラリとしか見えないのも良いもんだね〜と言いながら登っていると、次第に霧が晴れることが増えてきた。しかも、中ノ岳には日が当たっていて、上空は晴れているようだった。

 兎岳もまだ霧の中だった。雨がふらないだけ良かったねと言いながら兎岳を下っていくと、なんと霧がサーッと晴れて、中ノ岳から越後駒まで、よく見えるようになった。荒沢岳も雲の上に山頂を見せている。

 滑りやすい道を下り、なかなかきつい小兎岳の登りをがんばる。小兎岳の山頂は、とても痩せていて、休憩するところがない。それでも、日が当たって暑くなってきたので、樹林帯で雨具を脱ぐことにする。ゴゼンタチバナやマイヅルソウの実がたくさん付いている。

 小兎岳からの稜線は、今回の核心部だった。北ノ又川川が切れていて、滑りやすい岩場も多かった。行く手には、中ノ岳がひときわ高く聳えている。北ノ又川の上流の滝沢には、まだ雪渓が残っている。滑りやすい尾根を慎重に通過し、中ノ岳への最後の登りにかかる。ここも急登で苦しい登りだ。ふり返ると、これまで歩いてきた稜線が見えるが、兎岳から南の稜線は雲の中に隠れている。群馬側から押し寄せた雲が巻機山へと続く稜線を境に、滝雲となって流れ落ちるように消えていっている。低気圧に吹き込む南東風が上昇気流となって雲を作り、この稜線を超えたところで、下降気流になって雲が消えていくのだろう。とにかく、これまで見たことのないすばらしい光景だ。

 雲の上には、尾瀬の燧ヶ岳と平ガ岳が浮かび、その右には、至仏山なども見えている。燧ヶ岳のさらに左には、会津駒ヶ岳も見える。荒沢岳の左に見えた山は、会津朝日岳だと思われる。

 がんばって登り、池ノ段に到着する。私とSさんは、ここにザックを置いて、食料と水だけを持って山頂に向かうが、他の人はザックを背負って山頂に向かう。

 山頂には、いくつかの瘤を超えることになるが、山頂付近の紅葉はすばらしい。ようやく山頂に到着すると、すぐ近くに中ノ岳避難小屋が見え、越後駒ヶ岳もすぐそこに見える。八海山もよく見え、その左手には米山が見える。さらに左手には妙高連山と黒姫山が見え、上越の山々が連なっている。苗場山まではよく見えたが、巻機山は滝雲に山頂付近を隠されている。

 越後駒ヶ岳の右には、守門岳が見え、その右手には、毛猛山や浅草岳、その奥、遠くには飯豊連峰も見える。手前には、未丈が岳も見えている。日本海もうっすらと見えていた。360度の大展望を楽しむ。そして、山頂の西面には、すばらしい紅葉が広がっている。

 山頂でゆっくりと景色を楽しみながらお昼にする。昼食後は、来た道を池ノ段まで戻り、また重いザックを背負って歩くことになる。十字峡に向けた下山道も急な下りの連続だ。標高差で1700mある。しかし、後を振り向くと、すばらしい紅葉が楽しませてくれる。

 小天井は、七合目だった。こちらから見る中ノ岳は、兎岳方面から見た荒々しさとはうって変わって、大らかに羽を広げたような山容を見せる。

 さらに下っていくと、私の右側の靴の裏が何かおかしい。もしかしてと思って見てみると、底がはがれていた。程度は少なかったが、左側もはがれ始めていたので、両方とも、テーピングのテープでぐるぐる巻いて補修する。

 先に下ったみんなを追いかけ、追い越し下っていくと、生姜畑と呼ばれる湿地帯に出た。池塘がいくつかあり、草原もあった。池塘には中ノ岳が映っていた。ここから少し登ると、日向山に到着する。ふり返ると、滝雲はすっかり消えて、今日、歩いてきた稜線がよく見える。丹後山の山頂付近には、避難小屋も見えていた。良く歩いてきたなと感嘆の声が上がる。滝雲は消えたが、この頃から上空には、少し厚い雲が広がりだした。天気は悪化に向かっているようだ。

 ここからもぐんぐん下り、千本松原を過ぎ、鎖場を通過すると、水場の標識があった。遅れて下りてくる人たちに水をあげようと、私とSさんで水を汲みに行く。小さな沢をチョロチョロと水が流れていた。飲むと冷たくておいしい。

 水を汲んで登山道に戻った時、ちょうど全員到着した。みんなごくごくとおいしそうに飲んでいた。早足組の先頭3人は、どんどん下っていく。車道が近づき、最後にコンクリートの階段を下りると十字峡の登山センターに到着した。15時ちょうど。後の4人は、15時20分に予約したタクシーが到着するとすぐに到着した。

 帰りのタクシーの中では、運転手さんのまむし談義を聞きながら、越後の山のおもしろさと手強さを感じていた。1700mの下りは、誰もがこたえたようです。YさんとSTさんも、今までで一番きつい山行だったと言っている。良いトレーニングになったでしょうか?

記:網干

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