夏山登山装備表(高山7、8月 低山6~9月)

装備名 選定のポイント 日帰り 小屋泊 テント泊
登山靴 2,000m以上の高山は、夏でも雪渓の残っているところがあります。また、高山の道は、多くの場合、岩や石がごろごろしています。できるだけ革製のしっかりしたものを準備してください。ただし、土が主体の道であれば軽登山靴でも可能です。ただし、足首まで入るものを選びましょう。
上着 高山は、紫外線が非常に強く、また標高が高いため、朝晩はかなり冷えます。行動中は半袖でもかまいませんが、できるだけ長袖にした方が間違いがありません。ズボンも半ズボンでは、紫外線の影響で腿が焼けますので、長ズボンがお勧めです。素材は、上下とも化繊がお勧めです。また、着替えも1組持ちましょう。着替えは濡らさないように、必ずビニールの袋に入れておきましょう。
下着 できればクロロファイバーなどの化繊(ポリエステル系かアクリル系)がベストですが、夏山であれば綿でも可能です。ただし、綿の場合は、汗で濡れてしまい、なかなか乾かず、気温の低下や風によって体が冷えることになります。そのため、着替えを多めに持ってくる必要があります。(1泊の場合、着替えを1~2枚)特に、中高年の方は、冷えや装備の重さの関係から綿を避けて、化繊にした方が良いでしょう。化繊の場合も、着替えを忘れずに。着替えは、ビニールの袋に入れておきましょう。
靴下 靴下は、靴の大きさに合わせて、枚数(基本的には1枚)を調整して履きましょう。予備も1枚から2枚持って行きましょう。予備はビニールの袋に入れておきましょう。
帽子 紫外線を防いだり、熱中症を防ぐため、できるだけ帽子をかぶりましょう。つばのあるものは、雨の日に雨が顔に当たるのを防ぐ効果があります。
サングラス 紫外線を防ぐために、できれば持って行きましょう。できれば、サングラスと顔の隙間が小さいものを選びましょう。また、色の薄いものの方が、まぶしさで瞳孔が閉じるため瞳孔に入る紫外線の量が少なく、白内障の予防に良いそうです。
防寒着 夏山でも2,000m以上の高山はかなり冷えます。小屋の中は、比較的暖かく必要ない場合もありますが、朝晩の外気は10℃から15℃くらいまで低下します。薄手のフリースかセーターを1枚、持ちましょう。ザックにしまう時は、ビニールの袋に入れて持ちましょう。
スパッツ 靴に小石が入ったり、泥が入るのを防ぐのに便利です。ただし、夏山の場合、ロングスパッツは暑いので、好みで判断してください。(ショートスパッツもあります)
ザック 日帰りであれば、20L~30L、小屋泊まりであれば40L程度、テント泊まりであれば60L以上のザックが必要だと思います。機能性を追求したものからシンプルなものまで多種多様ですが、背負った感じでしっくりいくものを選択しましょう。
ザックカバー ザックの中のもので、濡れてはいけないものは、必ずビニールの中に入れておきますが、ザック自体が濡れると、重くなりますし、山小屋などで部屋に入れたりすることができなくなります。ザックの大きさにあったカバーをザック購入時に一緒に購入しておきましょう。
雨具 どんなに天気の良い日でも、雨が降る可能性はあります。雨具は必ず持って行きましょう。形は、上下に分かれたセパレートタイプにしましょう。ポンチョや傘だと、強風で役にたたない場合があります。素材は、できれば通気性と防水性を兼ね備えたゴアテックスがベストです。ただ、費用のこともありますから、ナイロン製の雨具でも可能です。ただし、防水性がなくなるのが非常に早いです。ゴム製などは、防水性は良いですが、非常に蒸れて暑くて着ていられない状態になります。(これも個人差があります)
水筒 必要な水の量は非常に個人差があります。良く水を飲む方は、夏山では3リットル以上必要な方もいます。飲まなくても平気な人は、1日500ccもあれば十分の場合もあります。できるだけ、飲まなくても大丈夫な体力を付けるよう、心がけた方が良いのですが、最低限1リットル~1.5リットルは持ちましょう。コースの途中に水場があるかないかによっても、変わります。アルミ製やポリタン、袋状のものなどありますが、凍ってしまう冬でなければペットボトルでも大丈夫でしょう。
ヘッドランプ どんな日帰り山行でも、遅れたり、動けなくなったりして、夜になってしまう可能性があります。自然の中ですから、夜になると真っ暗で何も見えません。ヘッドランプは、どんな山行にも必ず持参しましょう。今は、LEDタイプのものが出て、非常に軽くなりました。ザックにしまう時は、ビニールの袋に入れて、壊れないようにパッキングしましょう。
地図 1/25,000地形図をできるだけ持って行きましょう。ただし、雨が降ると濡れて使い物にならなくなるため、濡らさない工夫をしたり、もしもの時のために、濡れても大丈夫な昭文社などが発行している地図を持って行くと良いでしょう。ただし、この地図では詳しい等高線や地形を把握するのは無理ですから、1/25,000地形図を持参することを心がけましょう。また、地図の読み方を日頃から本などを読んで勉強しておくと共に、山に入ったら、常に地図を開いて、自分の今いる位置を確認する習慣を付けましょう。
コンパス(方位磁石) 地図とコンパスはワンセットで準備しておきましょう。地図をよく見るためには、コンパスが必携です。
レスキューシート もしも、山で動けなくなったりしたときのために、レスキューシートかツェルトを持ちましょう。ただし、ツェルトは、3人に一張り程度で大丈夫です。レスキューシートは、薄い銀紙でできた袋のようなもので、登山用品店に売っています。一度開くと、小さく折り畳めないため、携帯が難しくなります。非常時まで開けずに、そのまま持って行きましょう。
ローソクとマッチ これも、もしもの時のために、持って行きましょう。マッチはライターでもOKですが、どちらも濡れないように、必ずビニール袋に入れて持ちましょう。
非常食 山で道に迷ったり、怪我をして動けなくなった時のために、必ず非常食を持参しましょう。非常食は、コンパクトでカロリーの豊富な食べ物にすると良いでしょう。具体的には、カロリーメイト(喉が渇くと食べられない人が多いので、水も必要になります)やチョコレート、コンデンスミルク、蜂蜜などが良いと思います。自分の嗜好も考慮して、カロリーの豊富なものを選びましょう
行動食 登山の行動中に食べるものです。昼食は、食べやすく腹持ちの良いものを選びましょう。入手の困難性もありますが、パンやおにぎりが一般的です。行動中の食事は、できるだけ1回に多く食べるのではなく、2時間置きくらいにこまめに食べる方が効率的です。空腹になると動けなくなりますし、急に満腹になると、体が重く、だるくなります。休憩の時間を利用して、こまめに何か食べましょう。昼食以外の行動中の食料としては、豆菓子(ザックに入れてもつぶれないことやカロリーが高いことが良い)、ゼリー、果物、チョコレート、せんべい、クッキー、ソーセージ、かりんとう、甘納豆などなど。
ストック 足腰の弱い人、足腰をカバーしたい人は、ダブルストックがお勧めです。しかし、ストックが外れたら転落してしまうような岩場では、使用を避け、岩に手で掴まって歩きましょう。(3点支持など)
手袋 転んだ時の手のひらの保護や、早朝の寒い時などのために着用しておくとよいでしょう。素材は、薄手の化繊が良いでしょう。テント泊の場合などは、熱くなったコッヘルの取っ手を持ったりする時にあると、便利です。
コップ 行動中にコーヒーを飲んだり、宿泊場所でアルコールを飲んだり、あるとなかなか便利です。
タオル 汗を拭いたり、山から下りての温泉など、いろいろと使い道があります。テントの中で、調理する場合、熱くなったコッヘルの取っ手を持つ時にも重宝します。
五徳ナイフ(ナイフ) 調理用にあると便利です。最低限ナイフだけでもあると便利です。調理用以外にも、いろんな使い道があるので、ザックに一つ忍ばしておくと良いでしょう。
コンロ EPI、プリムスなどに代表されるガスコンロが主流です。できるだけ軽くコンパクトなものを選んだ方が良いです。バーナーが大きいほど火力が強く、調理が早くできます。ただし、ガスの消耗も大きい。他に、ホワイトガソリンを使用するコンロ(ホエーブス)や、灯油を使用するコンロもあります。これらは火力が強く、冬に威力を発揮しますが、余熱が必要で操作が難しい、燃料が重いなどの短所もあり、夏にはお勧めしません。なお、ガスコンロであれば、1台で2~3人分の使用を目安にしましょう。
燃料 コンロの種類やメーカーに合った燃料を選びましょう。ガスカートリッジは、夏であれば、一般用で大丈夫ですが、秋や冬は寒冷地用の使用は必須です。
コッヘル 軽量で丈夫なチタン製のコッヘルもありますが、予算と山行人数に応じて選択します。しかし、大きさには限りもあり、大きすぎるものはパッキングにも苦労します。人数が多い時は、何人かに分けて持参しましょう。
テント 何人用のテントにするか検討して購入します。普通、2~3人用などと幅を持たせていますが、この場合3人で使用した時は、かなり窮屈ですから、ツェルトなどを持参し、装備はツェルトに入れて、テント内を広く使うようにしましょう。また、夏山では必ずフライシートを持参しましょう。土や草原のような地面の場合は、ペグが必要ですが、高山の稜線などの岩の多いところは、石を利用して張り綱を張りましょう。(軽量化も図れます) また、素材は、ゴアテックスがベストですが、通常のナイロン製でも問題ありません。ただし、ゴアテックスの場合は、フライシートを使わなくても、防水性を維持できますので、軽量化を図れます。テントを張る時は、テント本体とフライシートがくっつかないように、空間を作りましょう。くっついてしまうと、防水性がなくなり、テントの内部に雨が入ってきます。
テントマット テントの床面に薄手の銀マットを敷くと、クッションになって地面のでこぼこを多少吸収すると共に、地面の冷たさを緩和する保温効果もあります。銀マットは、銀の部分を上にするか下にするか、それぞれの考えがあるようですが、下にした場合は滑りにくく、上にした場合はお汁などをこぼしても、染み込まないという利点があるように思います。テントの大きさに合わせたものを用意しましょう。
食器 金属製のものやプラスチック製のものなどがありますが、金属製のものは直接火にかけられるため、便利です。また、箸やスプーン(山用語ではブキといいます)なども忘れずに準備しましょう。
シュラフ 夏山であれば、夏用かスリーシーズン用を使用します。素材は、軽くて保温性の高い羽毛がベストですが、高価なため、少しかさばりますが、化学繊維のものでも大丈夫です。
個人用マット テントマットだけでは薄いため、シュラフの下に敷く個人用のマットを準備すると、横になった時の背の痛みを抑えられ、保温効果も高まります。(冬山では必須アイテム)厚めの銀マット、エアーマット、風呂場に敷くマットのようなものなど、いろんなものがありますが、重量を考慮しながら好みに応じて選択しても良いでしょう。
食料(朝食、夕食) 高価ですが、フリーズドライ食品はかさばらず重さも軽く、保存期間も非常に長いため、お勧めです。1泊程度の登山でしたら、レトルトの食品を準備したり、生ものを準備しても大丈夫でしょう。ただし、腐敗するものについては、保存期間を考慮して保冷するなど対策を講じる必要があります。
洗濯ばさみ テント泊の場合など、お湯を注ぐだけで食べられるフリーズドライ食品の、袋の口を押さえたり、時には濡れたものを乾かす時にあると便利です。
救急薬品等 パーティーに1セットで良いですが、救急薬品等のセットを持ちましょう。内容は、三角巾、包帯、カット絆、湿布薬、消毒液、テーピング用テープ、鎮痛剤などが必要と思われます。